37号告示とは?SES事業者のための完全解説|全条文の意味・偽装請負の判断基準・対策チェックリスト【22026年版】

SES事業を営むうえで、避けて通れないのが「37号告示」です。労働局の調査で偽装請負かどうかを判断するときの物差しであり、ここを外すと、契約書をどれだけ整えても「実態は労働者派遣だ」と判断されてしまいます。

当協会ではこれまで、37号告示を条項ごとに分けて解説してきました。そこで本記事では、これまでの解説を1本にまとめ、全条文の意味、行政が見るポイント、SESで問題になる場面、具体的な対策を通しで読めるようにしました。2021年に厚生労働省が公表したアジャイル型開発に関する疑義応答集の内容や、2025年の刑法改正による罰則の表記の変更も反映しています。

この記事の結論
・37号告示は、請負・準委任(SES)と労働者派遣を区別するための国の基準です。契約書の名前ではなく、現場の実態で判断されます。
・第2条の要件を一つでも満たさなければ、労働者派遣と判断されます。「ほとんど守れている」では足りません。
・要件の中心は、指示・評価・労働時間・規律・配置を、すべて自社(受託者)が行うことです。発注者が技術者に直接指示すれば、その時点で崩れます。 ・要件を形の上で整えても、派遣法を逃れるための偽装であれば、やはり労働者派遣とされます(第3条)。 ・対策は「契約書」「現場の運用」「社内体制」の3つをそろえることです。本記事末尾のチェックリストで自社を点検してください。

1.37号告示とは何か

正式名称と目的

37号告示の正式名称は「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」です。昭和61年(1986年)に労働省告示第37号として定められ、平成24年に改正されています。通称の「37号告示」は、この告示番号から来ています。

目的は、労働者派遣と請負を区別する基準をはっきりさせることです。労働者派遣を事業として行うには厚生労働大臣の許可が必要で、派遣元・派遣先にはさまざまな義務が課されます。請負の形をとりながら実態は派遣、という「偽装請負」を見分けるための基準が、この告示です。

派遣と請負・準委任(SES)の違い

両者を分ける最大のポイントは、誰が技術者に指揮命令をしているかです。

比較項目労働者派遣請負準委任(SES)
契約の目的労働者を派遣先の指揮命令の下で働かせること仕事の完成業務の遂行(事務処理)
技術者への指揮命令派遣先(発注者)が行う受託者が行う受託者が行う
許可労働者派遣事業の許可が必要不要不要
発注者が直接指示した場合適法偽装請負になる偽装請負になる

SES(準委任)にも37号告示は適用される

告示の文言は「請負」となっていますが、SESのような準委任契約にも同じ基準が適用されます。厚生労働省の疑義応答集では、告示上の「請負」には委任・準委任も含まれるとされ、契約の形式ではなく、発注者と受託者側の労働者の間に実態として指揮命令関係があるかどうかで判断すると明記されています。「うちは請負ではなく準委任だから関係ない」という整理は通用しません。

2.37号告示の全体構造

37号告示は3つの条文で構成されています。実務で重要なのは第2条と第3条です。

条文内容ポイント
第1条告示の目的派遣と請負を区別する基準を明らかにする
第2条区分の基準(本体)第1号と第2号の要件を「すべて」満たさない限り、労働者派遣事業とされる
第3条偽装の場合の扱い第2条を満たしていても、派遣法を逃れるための偽装なら労働者派遣事業とされる

第2条の基本ルール:「すべて」満たさなければ派遣

第2条は、請負(準委任を含む)の形式で自社の労働者を働かせる事業者であっても、次の各号のいずれにも該当する場合を除き、労働者派遣事業を行う事業主とする、と定めています。つまり、要件を一つでも欠けば派遣と判断される、という厳しい作りです。

第2条の要件は、大きく2つの柱に分かれています。

柱求められることチェック項目
第1号:労働力を自ら直接利用している技術者への指示・管理を、受託者が自ら行うイ(1)業務遂行方法の指示 イ(2)業務遂行の評価 ロ(1)始業・終業・休憩・休日等の管理 ロ(2)残業・休日労働の管理 ハ(1)服務規律の管理 ハ(2)配置の決定・変更
第2号:業務を独立して処理している発注者から独立した事業として業務を処理するイ 資金の自己調達・支弁 ロ 事業主としての法的責任 ハ 単なる肉体労働の提供でない(機材等の自己調達、または企画・専門技術による処理のいずれか)

チェック項目は全部で9つです(第2号ハは2つのうちいずれかを満たせばよいため、1項目と数えます)。

ポイント:行政は「書面」と「実態」の両方を見る
労働局の調査では、最初に契約書や作業指示書などの書面を確認し、次に責任者や技術者へのヒアリングで実態を確認します。書面に発注者の指示を想定させる文言があれば疑われますし、書面が完璧でも、現場で発注者が直接指示していれば偽装請負と判断されます。
対策は常に「契約書から消す」「現場でやらせない」「会社間の正式な要請に置き換える」の3点セットで考えてください。

3.第2条第1号:労働力を自ら直接利用しているか

第1号は、受託者が自社の技術者の労働力を「自ら直接利用している」ことを求めています。具体的には、業務の遂行(イ)、労働時間(ロ)、企業秩序(ハ)の3分野について、それぞれ2つの管理を受託者自身が行う必要があります。

イ 業務の遂行に関する指示・管理

イ(1) 業務の遂行方法の指示・管理

観点内容
条文の要旨労働者に対する業務の遂行方法に関する指示その他の管理を自ら行うこと。
意味仕事の割り付け、作業の順序、緩急の調整などを、受託者が自分で決めて指示することです。37号告示の中で最も重要な、偽装請負防止の中核となる要件です。
行政が見るポイント作業の割り振りや優先順位を、受託者の責任者が決めているか。発注者が技術者に直接指示していないか。
SESで問題になる場面発注者の社員が「今日はこのチケットを先にやって」と技術者に直接指示する。チャットで発注者が個々の技術者にタスクを割り振る。
対策指示は「発注者 → 受託者の責任者 → 技術者」の経路に限る。仕様変更や作業の追加は、会社間の正式な依頼(作業指示書・発注書)で受ける。

イ(2) 業務の遂行に関する評価

観点内容
条文の要旨労働者の業務の遂行に関する評価等に係る指示その他の管理を自ら行うこと。
意味技術者の仕事ぶりの評価、技術的な指導、出来高の査定などを、受託者が自ら行うことです。
行政が見るポイント技術者の評価や指導を受託者が行っているか。発注者が個人を評価し、その結果が処遇に影響していないか。
SESで問題になる場面発注者が技術者個人の評価表をつける。発注者の評価を理由に、その技術者の交代や単価の引き下げを求められる。
対策契約書から発注者による評価を想定する文言を削る。交代や改善の要望は、個人評価ではなく会社間の正式な要請として受け、受託者の判断で対応する。

ロ 労働時間等に関する指示・管理

ロ(1) 始業・終業時刻、休憩、休日、休暇等の管理

観点内容
条文の要旨労働者の始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇等に関する指示その他の管理(単なる把握を除く)を自ら行うこと。
意味勤務時間や休みを決め、管理するのは受託者です。条文が「単なる把握を除く」としているとおり、記録しているだけでは足りず、受託者が自ら指示・管理している必要があります。
行政が見るポイント事前の打ち合わせで勤務時間のルールを決めているか。発注者の直接指示を排除する書面があるか。受託者の責任者を通じて指示しているか。受託者が実労働時間を把握しているか。
SESで問題になる場面発注者が技術者に休暇の承認を出す。技術者が発注者に出勤・退勤を直接報告する。月末に勤務表を発注者へ提出する取り決めがある。
対策勤怠の報告と承認は所属会社の中で完結させる。発注者に勤怠情報を共有しない。入館管理など勤怠管理以外の目的で情報が必要な場合は、目的を書面で明確にする。

ロ(2) 残業・休日労働の管理

観点内容
条文の要旨労働者の労働時間を延長する場合又は休日に労働させる場合における指示その他の管理(単なる把握を除く)を自ら行うこと。
意味残業や休日出勤をさせるかどうかを、受託者が業務の進み具合を見て決めることです。
行政が見るポイント受託者の責任者が、進捗に応じて残業や休日出勤を判断しているか。発注者からの業務量の変更を、事前に受託者が受け付ける仕組みがあるか。
SESで問題になる場面発注者の社員が「今日は残ってほしい」「土曜も出てほしい」と技術者に直接頼む。
対策業務量の増加は会社間で協議し、残業・休日出勤の指示は受託者の責任者が出す。技術者には、発注者から直接頼まれたら責任者に回すよう教育する。

ハ 企業における秩序の維持・確保等のための指示・管理

ハ(1) 服務上の規律の管理

観点内容
条文の要旨労働者の服務上の規律に関する事項についての指示その他の管理を自ら行うこと。
意味職場のルールや秩序の維持に関する指示・管理は、受託者が行うことです。ただし、安全衛生や機密保持など合理的な理由がある場合に発注者のルールに従わせることは、直ちに要件を欠くことにはなりません。
行政が見るポイント技術者への規律の指示を受託者が行っているか。発注者が個々の技術者に指示や許可を出していないか。
SESで問題になる場面発注者が技術者に服装や私語、離席について直接注意し、許可を出す。
対策発注者の職場ルールは会社間で共有し、受託者から技術者に周知する。安全衛生・機密保持のためのルールは、その目的を契約書や覚書に明記する。

ハ(2) 配置の決定・変更

観点内容
条文の要旨労働者の配置等の決定及び変更を自ら行うこと。
意味どの技術者をどの業務に就けるか、勤務場所や担当をどう変えるかを、受託者が決めることです。発注者が人選に関与することは認められません。
行政が見るポイント勤務場所や担当、指揮命令者を受託者が決めているか。発注者が面談や選考で個人を選んでいないか。
SESで問題になる場面契約前に発注者が技術者と「顔合わせ」と称した面談をして合否を決める。個人名入りの経歴書を見て発注者が技術者を指名する。
対策事前面談・個人の選考は行わない。スキルの説明が必要な場合は、個人を特定しない形で会社として示す。発注者の要望は会社間の正式な要請として受ける。

4.第2条第2号:業務を独立して処理しているか

第2号は、受託者が請け負った業務を、自分の事業として発注者から独立して処理していることを求めています。第1号が「人の管理」の要件だとすれば、第2号は「事業としての独立性」の要件です。

2号イ 資金の自己調達・支弁

観点内容
条文の要旨業務の処理に要する資金につき、すべて自らの責任の下に調達し、かつ、支弁すること。
意味業務に必要なお金は、受託者が自分の責任で用意して支払うことです。
行政が見るポイント報酬の支払時期より前に、発注者が受託者の費用を負担していないか。
SESで問題になる場面発注者が受託者の交通費や経費を立て替える。業務の途中で発注者から前払いを受け、それが実質的に運転資金になっている。
対策発注者からの立替え・前払いをやめる。前払いが必要な場合は、基本契約に着手金として定め、途中請求の形にしない。

2号ロ 事業主としての法的責任

観点内容
条文の要旨業務の処理について、民法、商法その他の法律に規定された事業主としてのすべての責任を負うこと。
意味業務上の損害賠償責任や、社会保険・労災などの雇用主としての責任を、受託者が負うことです。
行政が見るポイント契約上・実態上、責任の所在が受託者にあるか。技術者個人や発注者に責任が寄っていないか。
SESで問題になる場面契約書で受託者の責任をほぼ免除している。損害賠償を技術者個人に負わせる取り決めがある。
対策受託者が負う責任(善管注意義務、損害賠償など)を契約書に明記する。免責の特約は慎重に設計する。

2号ハ 単なる肉体的な労働力の提供でないこと

観点内容
条文の要旨次のいずれかに該当し、単に肉体的な労働力を提供するものでないこと。(1)自己の責任と負担で準備・調達する機械、設備、器材(簡易な工具を除く)または材料・資材により業務を処理すること。(2)自ら行う企画または自己の有する専門的な技術・経験に基づいて業務を処理すること。
意味受託者が、機材を自前で用意するか、自社の企画力や専門技術で業務を処理していることです。どちらか一方を満たせばよいとされています。
行政が見るポイント機材を発注者から借りている場合、請負契約とは別の契約(賃貸借など)による正当なものか。専門的な技術・ノウハウを受託者として提供しているか。
SESで問題になる場面SESでは、パソコンや開発環境を発注者が用意することが多く、(1)を満たしにくいのが実情です。技術者の頭数をそろえるだけの「人の提供」になっていると、(2)も満たしません。
対策発注者の機材を使う場合は、使用の条件を契約で明確にする。受託者としての専門性(技術・ノウハウ・品質管理の仕組み)を、提案書や作業報告で示せるようにしておく。

5.第3条:形を整えても、偽装なら派遣

第3条は、第2条の要件をすべて満たしている事業主であっても、それが派遣法の規定に違反することを免れるため故意に偽装されたものであって、事業の本当の目的が労働者派遣を業として行うことにあるときは、労働者派遣事業を行う事業主であることを免れない、と定めています。

つまり、契約書や書類の上で第2条を満たしているように見せても、実態が派遣であれば意味がありません。労働局が書面だけでなく、責任者や技術者へのヒアリングで実態を確認するのはこのためです。調査の直前に書類を作り直したり、口裏を合わせたりすることは、かえって処分を重くする原因になります。

6.偽装請負と判断されたらどうなるか

37号告示そのものに罰則はありません。しかし、告示によって労働者派遣と判断されると、労働者派遣法などの違反として、次のような不利益が生じます。

区分内容
行政指導労働局からの是正指導。是正内容の報告を求められ、改善されなければ改善命令・事業停止命令などに進むおそれがあります
無許可派遣の罰則許可なく労働者派遣事業を行ったとして、労働者派遣法上、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象になり得ます(2025年6月の刑法改正で「懲役」は「拘禁刑」に変わりました)
労働者供給の禁止多重下請けで実態が二重派遣などに当たる場合は、職業安定法の労働者供給事業の禁止に違反するおそれがあり、こちらにも刑事罰があります
労働契約申込みみなし制度偽装請負の状態で技術者を受け入れていた発注者は、派遣法の適用を免れる目的があった場合、その技術者に直接雇用を申し込んだものとみなされることがあります。発注者側が取引を見直す強い動機になります
取引・信用への影響指導を受けた事実が取引先に知られると、契約の打ち切りや新規取引の停止につながります。M&Aや資金調達の際の調査でも大きなマイナスになります
注意:リスクを負うのは受託者だけではありません 労働契約申込みみなし制度があるため、偽装請負は発注者にとっても大きなリスクです。最近は、発注者側の法務部門から「偽装請負の疑いがある運用を見直したい」と申し入れを受けるSES事業者も増えています。37号告示への対応は、受注を守るための営業上の課題でもあります。

7.アジャイル開発と37号告示|厚労省の疑義応答集(第3集)のポイント

2021年、厚生労働省は37号告示に関する疑義応答集(第3集)を公表し、アジャイル型開発での考え方を示しました。発注者と受託者の開発メンバーが日常的にやり取りするアジャイル開発は偽装請負になりやすいと言われてきましたが、疑義応答集は次のように整理しています。

論点疑義応答集の考え方
基本的な考え方アジャイル型開発にも37号告示が適用される。準委任契約でも、契約形式ではなく実態として指揮命令関係があるかで判断する
密な連携・助言発注者と受託者の開発メンバーが対等に協働し、受託者側が自律的に開発していれば、密な連携や助言・提案があっても直ちに偽装請負にはならない
直接の指示発注者側が受託者側の技術者に作業方法や労働時間を直接指示すれば、偽装請負と判断される
管理責任者の同席管理責任者がすべての会議に同席していなくても、それだけで偽装請負にはならない。ただし作業の割り付けや進捗調整などの指示は、受託者自らが行う必要がある
会議・チャット・管理ツール双方のメンバーが会議やチャット、プロジェクト管理ツールに参加していること自体は問題にならない
スキルシート技術レベルや経験年数を記載したスキルシートの提出を求めること自体は直ちに問題ではない。ただし個人を特定でき、発注者が個人を指名・拒否できる場合は、配置への関与として認められない

要するに、アジャイル開発だからといって特別な例外があるわけではありません。「対等な協働」の範囲にとどまっているか、「指揮命令」になっていないかが分かれ目です。役割と権限を事前に合意し、双方のメンバーに研修で共有しておくことが推奨されています。

8.実務で迷うケース|37号告示に照らした判断

当協会に寄せられる質問の中から、特に多いケースを37号告示の要件に当てはめて整理しました。詳しい解説は、各ケースの関連記事をご覧ください。

ケース結論関係する要件
発注者と技術者の日常会話業務と無関係な雑談は原則問題ない。業務指示や休暇の指示、黙示の指示とみなされる会話は危険1号イ(1)・ロ(1)
客先の打ち合わせへの同席同席は可能。ただし作業の順序や割り振りの指示を受けてはいけない1号イ(1)
契約前の事前面談・経歴書の提出個人を選考する面談や、個人を特定した経歴書による指名は原則NG1号ハ(2)
勤務表を発注者に提出する原則として提出すべきでない。入館管理など勤怠管理以外の目的なら認められる余地がある1号ロ(1)
技術者が発注者に出勤状況を連絡するグループチャットでの連絡も含め、勤怠管理とみなされるおそれがある1号ロ(1)
作業指示書の書き方法定様式はない。作業者が一人で作業できる程度まで具体的に書き、口頭での補足を減らす1号イ(1)
仕様書がないそれだけで偽装請負にはならないが、発注者の直接指示を疑われやすい。作業指示書で補う1号イ(1)
責任者の兼任・非常駐兼任や掛け持ちは原則可能。ただし作業者1人の現場での兼任や、不在時に発注者が指示する体制は危険1号イ・ロ・ハ全般
工程の欠陥への改善要求受託会社に対して求めるのは問題ない。技術者本人に直接指示すると偽装請負になる1号イ(1)
契約書の名称・文言名称が「業務委託契約書」でも問題ない。「派遣」「労務」「残業」「勤怠」など労務管理を連想させる語は避ける第3条(実態の偽装)・調査時の印象

9.37号告示 対策チェックリスト

自社の状況を、次の項目で点検してください。一つでも当てはまらない項目があれば、その部分が調査で指摘される可能性があります。

契約書・書面

☐ 基本契約書に、発注者が技術者に直接指示・評価・勤怠管理をすることを想定させる文言がない

☐ 作業責任者(管理責任者)の選任と、指示の経路(会社間・責任者間)を契約書に定めている

☐ 受託者の責任(善管注意義務・損害賠償など)を契約書に明記し、過度な免責特約を置いていない

☐ 個別契約・作業指示書で、作業内容を作業者が一人で作業できる程度まで具体的に示している

☐ 発注者の機材を使う場合、その使用条件を契約で明確にしている

現場の運用

☐ 発注者から技術者への直接の作業指示・優先順位の指示がない(チャットを含む)

☐ 残業・休日出勤の判断を受託者の責任者が行っている

☐ 勤怠の報告・承認・休暇の取得が、所属会社の中で完結している

☐ 発注者による事前面談や、個人を指名する選考をしていない

☐ 発注者が技術者個人を評価していない。交代の要望は会社間の正式な要請で受けている

☐ 発注者からの立替え・前払いがない

社内体制

☐ 責任者の不在時に誰が指示するか、代理者と連絡フローを決めて発注者と共有している

☐ 技術者に「発注者から直接頼まれたら責任者に回す」ことを教育している

☐ 労働局の調査に備え、契約書・作業指示書・勤怠記録を整理して保管している

☐ 新しい案件を受ける前に、契約と運用が37号告示に沿っているかを確認する手順がある

中野弁護士の視点(元IT企業経営者として)
私自身、IT企業を経営していた頃は、37号告示を「現場の実態に合わない古いルール」だと感じていました。客先の要望に素早く応えるには、技術者が直接やり取りするほうが早いからです。しかし、毎年10件以上の労働局調査に立ち会うようになって分かったのは、指摘を受ける会社の多くが「悪意があったわけではなく、仕組みがなかっただけ」だということです。 37号告示への対応は、現場のスピードを落とすことではありません。指示の経路と責任者の役割を決め、技術者が迷わずに動ける仕組みを作ることです。その仕組みがある会社は、調査を恐れる必要がなくなり、発注者からも「安心して任せられる会社」と評価されます。法令対応を、選ばれるSES会社になるための投資と捉えてください。

まとめ

  • 37号告示は、請負・準委任(SES)と労働者派遣を区別する国の基準で、SESにも適用されます。
  • 第2条の要件は「労働力を自ら直接利用している(第1号)」と「業務を独立して処理している(第2号)」の2本柱、9項目で、一つでも欠ければ労働者派遣と判断されます。
  • 中心となるのは、業務の指示・評価・労働時間・規律・配置を受託者が自ら行うことです。
  • 第3条により、書面だけ整えても実態が派遣であれば偽装請負とされます。
  • 偽装請負と判断されると、行政指導や罰則に加え、発注者側にも労働契約申込みみなし制度のリスクが生じ、取引に直結します。
  • アジャイル開発でも基準は同じで、「対等な協働」と「指揮命令」の線引きが重要です。

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当協会の代表理事・中野秀俊は、弁護士・社会保険労務士として、グローウィル国際法律事務所とグローウィル社会保険労務士事務所の代表を務めています。50社を超えるSES事業者の適正化を支援し、毎年10件以上の労働局調査に立ち会ってきた経験をもとに、37号告示に沿った契約書の整備から現場の運用づくり、調査対応までサポートします。