SES事業者様からの質問に対する回答
当協会の代表理事の中野は、法律事務所と社労士事務所を経営しています。
そこで、たくさんのSES事業者様からの相談を受けています。
そこで今回は、SES事業者から受けた質問と、その回答をしたいと思います。
【質問】SES契約に「善管注意義務」条項は必要?
SES契約の基本契約書に「善管注意義務」に関する条項がありません。偽装請負として扱われないでしょうか。
また、これは「善管注意義務」がないという理解でよいのでしょうか。
【回答】記載がないだけの理由では、偽装請負とはならない
SES契約を含む業務委託契約には、派遣契約のように、必ず定めなければならない事項や、書面などはありません。
したがって、基本契約書等に善管注意義務の規定がなかったとしても、それだけをもって偽装請負と判断されることはありません。
ただし、書面への記載があってもなくても、実際の運用上、善管注意義務を追わない取決めとなっているような場合では、37号告示にある「受託者が事業主としての民法・商法等の法律に基づく責任の全てを負担する」という項目を欠くことになるという観点から、偽装請負の原因の一部として判断される可能性があります。
【point】記載はなくとも、義務は負う
善管注意義務は、準委任契約の場合には自動的に負うものとし、民法上に規定をされています。
SES契約とは民法上の準委任契約にあたるので、特別に善管注意義務を負わない旨の取り決めなどがなければ、SES契約においても、原則善管注意義務を負うことになります。
したがって、自社やクライアントからのSES契約書に善管注意義務の条項がなかったとしても、受託者は善管注意義務を負うことになります。