SES事業者様からの質問に対する回答
当協会の代表理事の中野は、法律事務所と社労士事務所を経営しています。
そこで、たくさんのSES事業者様からの相談を受けています。
そこで今回は、SES事業者から受けた質問と、その回答をしたいと思います。
【質問】「作業指示書」に法定様式はあるの?
仕様書がない場合は、作業指示書がその代わりになると聞いたが、法定の形式・記載しなければならない事項などはあるのでしょうか?
【回答】「作業指示書」に法定様式・記載しなければならない事項は、なし!
作業指示書に法定のものはありませんので、どういった形式でも問題はありません。
記載しなければならない事項についても、法定の事項はなく、基の契約が特定できる事項と指示内容があれば一応は指示書として成り立ちます。
【point】必要なのは、「指示内容の明確さ」
作業指示書を作る上で問題となるのは、「指示内容の明確さ」です。
SES契約を含む業務委託契約では、発注者による指揮命令はできませんので、指示書により対応する事項について明記する必要があります。その際、ざっくりとした指示書を作成し、詳細を口頭にて補完するような方法により行おうとする事業者が多くいますが、
この「口頭の補完」が、結局、発注者の指揮命令に違反していることになります。
そのため、指示書を作成する際には、この「口頭の補完」がなくても作業ができる程度の詳細度による記載が必要になります。
労働局が調査の際に、「この指示書で技術者は作業できるのか?」という質問を事業者によくしますが、これは、上記の「口頭の補完」、すなわち、直接の指揮命令が本当にないのか、ということを聞いているのです。
上記を簡潔に書くのであれば、作業指示書を作成する場合の指示内容は、「作業者が当該指示書を見て一人で作業をできる程度」の詳細度は最低限必要ということになります。
ただ、これは労働局による明確な基準というわけではなく、あくまで労働局の裁量により決められるものであるため、「これだけ詳細に書いたからOK」「これだけしか書いていないからNG」というものはありませんので、基本的には、「作業者が当該指示書を見て一人で作業をできる程度」以上の詳細度で記載をすることが望ましいと言えます。