【SES必須知識】「37号告示」条文の意味と企業の対策【第2条1項イ(1)】


SES事業者様からの質問に対する回答

当協会の代表理事の中野は、法律事務所と社労士事務所を経営しています。

そこで、たくさんのSES事業者様からの相談を受けています。

そこで今回は、SES事業者から受けた質問と、その回答をしたいと思います。

【質問】37号告示における「2条1項イ(1)」の意味は?

37号告示2条1項イは、どのようなことが記載されているのですか?

【回答】各号(イ、ロ、ハ)の全てを受託者が行っていたら、派遣事業ではないと判断!

具体的な事項が記載されている2条について、条文ごとに解説していきます。

”【第二条一】
次のイ、ロ及びハのいずれにも該当することにより自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用するものであること。”

要約すると、

「本条1項の各号(イ、ロ、ハ)の全てについて、受託者が自社の労働者に対し直接行っている(=発注者がこれらを行っていない)場合には、
適正な請負事業者(SES含む)と判断する(=派遣事業ではない)」

ということが記載されているのです。

 

そして、次(イ)から(ハ)までは、その具体的な内容となります。
条文では、次のように記載がされています。

”【第二条一 イ(1)】

次のいずれにも該当することにより業務の遂行に関する指示その他の管理を自ら行うものであること。
(1) 労働者に対する業務の遂行方法に関する指示その他の管理を自ら行うこと。
・・・”

→(1)は、「業務の遂行方法」について、「指示・管理」は自ら(受託者)が行うこと、としています。
つまり、業務を進めるにあたっては、発注者から労働者に対し業務に関する「指示」や「管理」を行うのではなく、受託者が自ら行わなければならないということになります。
※(2)は次回で解説します。

行政機関による調査のポイント

本条が正しく適用されているかの判断は、

  • 当該労働者に対する仕事の割り付け、順序、緩急の調整等につき、当該事業主が自ら行うものであるか

否かを総合的に勘案して行うとされています。

※ここで言う「総合的に勘案して行う」とは、告示の各号におけるいずれかの事項について、事業主が自ら行わない場合(各号に反する場合)であっても、
これについて特段の合理的な理由が認められる場合は、直ちに当該要件に該当しないとは判断しない、という趣旨で使われます。
以降全ての条項において、同じ意味で使われます。

SES事業者(受託者)の対策

この条項に対するSES事業者の対策としては、

  1. 基本契約書や個別契約書、発注書等全ての書類において、「業務の指示や管理は発注者が行う」と読めるような文言を削除すること
  2. 実際の運用として、「業務の指示や管理」が発注者によって行われないようにすること
  3. 業務の指示や管理が必要な場合は、仕様書の変更や作業指示書等により、会社を通した正式な発注として処理をすること

などが考えられます。

この条項は、いわゆる「指揮命令」に関する事項にあたり、偽装請負対策の中でも最も重要度の高い項目と言えますので、確実に対策を講じるようにしましょう。

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