SES契約で「自宅待機」とはどういう位置付けなのか?


SES事業者様からの質問に対する回答

当協会の代表理事の中野は、法律事務所と社労士事務所を経営しています。

そこで、たくさんのSES事業者様からの相談を受けています。

そこで今回は、SES事業者から受けた質問と、その回答をしたいと思います。

【質問】SES契約で「自宅待機」とはどういう位置付けなのか?

SES契約をしてる上位会社から、「コロナウイルスの影響によりプロジェクトがストップしたから、技術者は「自宅待機」としてくれ。」との依頼がありました。

当初は、コロナウイルスの影響によるものなのでしょうがないことかと思い承諾しましたが、「自宅待機」とはどういった扱いで、今後どう対処したらよいのでしょうか?

【回答】「契約中断」の状態。中断時の取り決めがなければ「ノールール状態」のため、双方で協議を。

一般的な考え方に沿えば、自宅にて「待機」の状態なので、再開するのを待っており、契約は解除されていない(=業務(契約)が中断している)状態であると考えられます。

したがって、まずは、基本契約書や個別契約書に「自宅待機」やそれに相当する状態(業務の「中断」など)について定めがあるのかを確認しましょう。

定めがあれば、当該条項に則り進めることになりますが、定めがなければ「ルールがない状態」であると言えます。

多くの契約書では、「疑義のある事項や定めのない事項があった場合には、協議の上決める」といった内容が盛り込まれているかとと思いますので、その定めに則り、双方、しっかり協議の上、「自宅待機」時の処理について、検討・決定をしましょう。

特に報酬については、受託者側であれば、全額支払いをして欲しいですし、委託者側であれば、できるだけ払いたくないはずです。

当事者間のルールがない状態であれば、民法の規定に従うこととなりますので、不可抗力でなければ、委託者側の帰責により報酬の全額が請求可能、となることがあります。

特別な定めをしたい場合には、両者でよく話し合いをするようにしましょう。

新しい取り決めは、必ず書面で!

双方協議の上、「自宅待機(契約の中断)」時の処理について決定した場合には、覚書など、書面により記録を残すようにしましょう。

せっかく決めた取り決めも、記録がなければ、後からひっくり返されてしまうこともあり、トラブルの原因にもなります。

新たな取り決めをした際は、必ず、書面による記録を残すようにしましょう。

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